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LC JOURNAL SPECIAL ISSUE イラストレーターNoritake さんと一緒に[前編]

2026.07.16feature

“ PLAY ELEGANCE.”
LANVIN COLLECTION

LC JOURNAL

French Beauty,
Japan in the Moment

SPECIAL ISSUE

TOKYO,THURSDAY,July 16, 2026

LANVIN COLLECTION アーティストコラボ

イラストレーターNoritakeさんと一緒に[前編]

SPECIAL DIALOGUE

MAIN PHOTO

ミニマルな線画で国内外を問わず高い人気をあつめるイラストレーターNoritakeさん。7月17日(金)に発売するカプセルコレクションは、ディレクター大島隆之との10年来の親交から、実現した特別なコラボレーションです。ブランドが紡いできたエレガンスと、Noritakeさんが描く引き算の美学。おふたりの対談を通して、今回のコレクションに込められた想いと舞台裏を前編・後編で紐解きます。

  • 大島隆之Takayuki Oshima

    ディレクター。百貨店、セレクトショップ、コレクションブランドでキャリアを積み、国内外のファッションブランドのディレクション、VMを行う。2024年よりCuatro LLC.を設立。

  • Noritake

    広告、書籍、ファッション、プロダクト制作など、国内外で活動するイラストレーター。近著に『WORKS』(グラフィック社)、『へいわとせんそう』(谷川俊太郎・文/ブロンズ新社)などがある。  www.noritake.org

共鳴から生まれた、新たな挑戦

日本で表現している人と仕事がしたい大島

今回のコラボレーションをNoritakeさんにオファーされた経緯を教えてください

大島

Noritakeさんのことはずっと知っていて、偶然に知り合うことになりました。それまでもイラストは見ていましたが、絵本『へいわとせんそう』を見て、強さを感じました。みんな“シンプル”という言葉で表現しますが、様々なことがあったなかから、ぶつかって、角が取れて、丸くなって、シンプルになったのだなと思いました。この絵本を読んでから、俄然Noritakeさんという人への興味も湧きました。今回「LANVIN」メンズ100周年というコラボ企画が持ち上がったときに、日本で何かを発信している人、表現している人と仕事がしたいと思ってオファーさせていただきました。

Noritake

オファーをいただいて『ランバン コレクションにイラストがいるのかな?』とは思いました。どこでやるときもそうなのですが、自分が関わる必要が本当にあるのかな?ということを考えています。だから、『やりたいことは何なのだろうか』ということを思いながら、半信半疑でお話しを聞き始めました。

大島

純粋に何がしたいのかを知りたいということだなと感じましたので、意図や自分の考えをすべてお話ししました。飾ってご説明してもしょうがないので…。お話しが進むにつれて、理解を得られてきたかな?という初回の打ち合わせでした。

Noritake

そうでしたね。最初に表参道の店舗にお伺いしました。全体のお話しを聞いて、そこでブランドの状況を理解して、この空間も使って、そういうことをされたいのですねということで、お受けしました。

考えは簡単に共有できないからNoritake

Noritake

アパレルとのコラボは、オファーいただいてから始まるものなのですが、自分のイラストが活かされる良い機会だと、感じています。自分発信で何か行うよりもクライアントとコラボレーションしていくことに興味があります。ここ数年で、普通に大人になってきたような気がして、自分の作品を見せたいという欲があまりなくて…。爽やかな海外アーティストのようなサクッとした表現もできなくて。ずっと考えながら、穴を掘るようにやっている気がします。

大島

(笑)深くなっていくということですよね?

Noritake

そうです。最終的には誰にどう見られてもいいというところまで考えて出しています。それ自体がすごく練り上げられたように見られたくはないのですが…。安心して見てもらえるように収めておくというか。深く考えているとも思われたくないから、こうやって語るのも本当は好ましくない(笑)一生懸命やっているのがバレちゃう(笑)

大島

ありがとうございます。今回の取り組みで、人に正確に伝えたいという想いを強く感じました。

Noritake

ふたりのやり取りは、メールが多いですよね。

大島

そうですね。その中でも人に正確に伝える、誤解を与えないようにするということを強く感じました。様々な経験をされてきたのだなと思いました。服はすべて要素で語れるけれど、右脳を使った感覚的なものがあるからおもしろいのだけれど…。

Noritake

そこまで共有できないですよね。

大島

できないですね。それがすごく…でも…という歯がゆい思いもありますね。

Noritake

分かりあうことができるように、感覚的でない部分をお伝えして、枠組みを明確にしていくのは仕事の好きなところです。メールだと自分も見返せるし、自分に合っているコミュニケーションツールだと感じます。

いろいろ細かく検証して完成しました大島

できあがった商品を見ての感想を教えてください

Noritake

まだちゃんと見てないんです。

大島

昨日サンプルが納品されたばかりです。写真で見てもらうよりも、今日現物を見ていただきたいと思って。初見を大事にしたいんです。

Noritake

これはもう確定の商品ですよね?検証はしていますか?

大島

過程をすべてお見せするのは違うかなと思っていましたが、かなり細かく検証しています。刺繍の種類も変えて、色も何色も検討して、ボディも4種類くらいで検証しました。ロゴのラバーは部分サンプルで、塗料の量や厚みも様々検証しました。がんばったことをアピールするつもりはないですが、かなり真面目に取り組みました。

Noritake

バッグいいですね。

大島

よかったです。エコバッグとはいえ、ボタンを使ったり、底を入れたり。内側にはワインを入れられるサイズのポケットを付けています。日傘を入れるのにもいいかなと思っています。

Noritake

女性にもいいですね。たためるんですか?

大島

たためます。ゴムで留める仕様です。社内ですが、女性モデルにも持ってもらって撮影もしています。

Noritake

ロゴTシャツは洗うとどうなるんだろう?ラバーは割れないですか?

大島

ほぼそのままですね。何度も検証して、過去の実績を踏まえて作りました。この圧着の太さと厚みなら大丈夫ということでこれに決めていて、はがれることもほぼないです。

Noritake

とことん着られたら、どうなんでしょう?

大島

10年単位で着られたら…割れる可能性もなくはないですが…。「ランバン コレクション」にもプリントTシャツはあるのですが、立体感を出したくて刺繍やラバーにしています。ブランドらしさと、いただいたイラストらしさが表現できたのではないかなと思っています。

まずは相手を嫌な気持ちにさせないことNoritake

「ランバン コレクション」は“PLAY ELEGANCE.”をコンセプトにしています。Noritakeさんにとってのエレガンスとは?

Noritake

家族とかご近所さんとか、街中で歩いているとき、お店でお会計するとき、そういう時の振る舞いの良さ。品というか。油断してても、相手を自然と嫌な気持ちにさせないということ。美しいということは、その後についてくるものかなと思います。自分がすごく清潔に生きているわけではないので、誰かにとっては不快な時があるかもしれませんが、極力そうならないようにしないとと、思っておくという感じです。思ってるくらいなので、まだまだですね。そんなに気張らず、ほどほどに頑張って、周りの人に不快にさせないようにしないと。

大島

清潔でいなければいけないということに関して、例えば夏場に相手に暑そうと思わせないこと、もマナーなのかなと思っています。着るものや汗や髭など様々な要素があると思うんですけど。

大島さんから見て、Noritakeさんに感じるエレガンスな部分は?

大島

大きくいうと、エレガンスには知性が含まれていて、それにプラスしてユーモアが必要だと思っています。Noritakeさんとはかなり長いメールのやり取りをしていますが、それもエレガンスな印象があります。

Noritake

そうですか?

大島

きちんと伝えるとか、言葉遣い、改行の位置を含めてのことですが、すごくそれを感じました。

AIには、もう少し抗おうとNoritake

Noritake

最近、文章の『。』をなるべく使わないようにしています。読みやすくなるかなと思って。生成AIじゃないぞという主張かもしれません。絵を生成することが可能になってきて、共存するか抗うのかとなったときに、少し抗ってみようかと。自分のイラストは私自身でもあるので、それが生成されていないもの・私が作っているものとして認知されるのは一つの喜びでもあります。最近は気持ちや人間味を閉じ込めるということを意識しています。ただ表情豊かな絵にするとかでなくて、迷ってみたり、わざわざ遠回りしたり、手間なことをやってみたりとか。

大島

私は効率という言葉が好きではなくて…。効率を求める前に精度をあげる、量をこなすというのが、いま仰っていたことと通じるものがあるのかなと感じます。このコラボの最初にお話しをしたときに、『いまどんなものを作っているのか見ておきたい』と言われて、きちんと考えてくださっているなと思いました。洋服はすべてプレスにあるのでそこへご案内しようと思ったのですが、店が見たいとリクエストがあり、内装や空気感を見ておかれたいのかなと理解しました。

Noritake

「ランバン コレクション」のことは知識がなかったですし、大島さんとの関係性もわからないので、行って知れるならと。そんなに重くないですよ。

大島

それでもありがたいなと思いました。

Noritake

軽くやるということをしてこなかったからかもしれないですね。軽くやっていれば楽に生きれたかもと思いますが、今でもこの仕事を続けられているのは、こういう姿勢で変わらないでいたからかなと思います。