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LC JOURNAL vol.1

2026.02.12feature

“ PLAY ELEGANCE.”
LANVIN COLLECTION

LC JOURNAL

French Beauty,
Japan in the Moment

VOL.1

TOKYO, THURSDAY, FEBRUARY 12, 2026

大島隆之×金澤誠一

LANVIN COLLECTION今と未来

SPECIAL DIALOGUE

2025FWコレクションから大島隆之をクリエイティブディレクターに迎えた「ランバン コレクション」。『PLAY ELEGANCE.』というコンセプトのもと、“フランスの美、日本の今”を視点に、生まれ変わります。 新連載“LC JOURNAL”では、大島隆之とブランドに縁のある人々との対談を順次公開。初回は、ジョイックスコーポレーション執行役員の金澤誠一が登場。大島ディレクター就任から2シーズン目となる今、ブランドの現在地や、変わること、変わらないこと、そしてファッションを通して目指す未来について、“日本のランバン”として歩むふたりの想いを聞きました。

  • 大島隆之Takayuki Oshima

    ディレクター。百貨店、セレクトショップ、コレクションブランドでキャリアを積み、国内外のファッションブランドのディレクション、VMを行う。2024年よりCuatro LLC.を設立。

  • 金澤誠一Seiichi Kanazawa

    株式会社ジョイックスコーポレーション執行役員。営業・企画生産・マーケティングを幅広く担い、海外ブランドの価値を生かした日本市場向け事業成長を推進している。

『PLAY ELEGANCE.描くブランド像

みんなの腹の中を出し合いたどりついた大島

改めて、“PLAY ELEGANCE.”をどう捉えていますか?

大島

ブランドの指針・コンセプトをきちんと作りたいと思っていました。「ランバン コレクション」は新しく立ち上げたブランドではなく、“新しくする”既存ブランドだったので、今までの「ランバン コレクション」に何をオンしようかなと考えていました。プラス携わるみなさんから引き出して生まれたものが『PLAY ELEGANCE.』でした

金澤

アグリーです。二人でも話し合ったし、みんなでも話し合いましたね。どれくらいかな?

大島

全部で10回くらいでしょうか?8人~12人くらいで。そこから出てきた言葉と解釈です。私が外部から来て提案したわけではなくて、携わるみんなの思いや考え、腹の中をもっと出して、もっと出して、と言って絞り出した集合が『PLAY ELEGANCE.』という言葉と考え方です。

『エレガンス』というキーワードには最初は違う意見もでましたか?

金澤

いまもぴったり合っているかといえば、十人十色、人それぞれの部分はあります。ただそれは、近くはなってきていると思います。

大島

エレガンスのイメージを具体的に出して、重ねて、その上で自分たちが作る服で、このブランドで、日本で、何がエレガンスなのだろう?を蛇行しながら導き出してきました。

大島さんは、売上を科学できる人金澤

ディレクターに大島さんを起用した理由は?

金澤

「ランバン コレクション」は百貨店を主戦場としていて、団塊の世代をメインとしていて将来が明るいか?と考えたときに、難しいと感じた。そこでブランドをリノベーションしないとなという考えに至りました。ファッション感度は大切だけど、それだけではダメで、ファッションとビジネスを両立できる人、バランスをとれる人を探した結果が、大島さんでした。

大島

改めて気が引き締まります。

大島さんがディレクターに就任してから変わったなと感じられますか

金澤

はっきりと感じるのは、場の空気が変わりました。企画がいて、パタンナーがいて、生産もいて、営業もいて、チーム感が出てきた感じがします。大島さんがお店をまわってくれたりもしているので、コミュニケーションが活発化しているのは明らかですね。

守るものは『エレガンス』、その解釈をどう遊ぶか大島

「ランバン コレクション」の変わっていくもの変わらないものとは

大島

歴史があるブランドですし、ブランドの哲学をきちんと理解しようと勉強しました。それを踏まえて日本でどのように展開すればいいかと考えたときに出てきた言葉が『エレガンス』。この言葉は、人によって意味づけがかなり違うので、自分たちのエレガンス、『ランバン コレクションのエレガンスはこれです』という定義づけをはじめました。

金澤

「ランバン」は130年を超える歴史がある世界最古のメゾン。『着ている服を作るのではなく、その人らしい印象が残る服を作る』というのが「ランバン」。そこにはエレガンスという上質な素材と、完璧なテーラリングが求められている。その領域がスタート地点。それを、日本風に、今風に、どう解釈していくか。『エレガンスの定義』というのが難しいところですけどね。

大島

そこはしっかり話しましたね。日本でエレガンスというのが、褒め言葉になってるのかな?というところから、本来もうちょっと違う意味や解釈があったんじゃないかなというところを、みんなで掘り下げて、解釈を共有しました。

日本の気候と、日本人の体形に合った服大島

日本の人に「ランバン コレクション」が提供できることは?

大島

服だから、ファッションだから、楽しくなくちゃ意味がない。ということと、暑さ寒さをしのげないと意味がない。それを踏まえて、ブランドの最初の言葉『着る人のための服』が大事なキーワードでした。私たちが作る服はヨーロッパの人に向けた服ではなくて、日本の気候と日本人の体形に合った服を作ろうと思っています。それが結果として、着ていて楽しい、気持ちいい、便利、それがエレガンスだという解釈をして提供したいと思ってます。

金澤

そういうことも含めて、着る人の自信になればいいかな。

大島

いろいろな表現があると思うのですが、テンションあがるとか、どこかいい感じとか、暑さ寒さをしのげる以外の“何か”を提供できるのがファッションだと思うので、そういったものはどの服にも込めていきたいですね。

(*1)ルカ・オッセンドライバー:2005年~2018年、「LANVIN」のメンズ部門のアーティスティック・ディレクターを務める。

『日本だったら?』を考えています大島

2026SSのコレクションテーマを教えてください

大島

フランス本国とシーズンテーマは同じものです。今シーズンのテーマは『サマーパラダイス』。そのテーマに沿って、“日本だったら?”と考えて提案しています。

金澤

メンズの服なので、ガラッと変わったり、スカートが増えることはないけれども、ブラッシュアップしている感じはしますね。

大島

例えば、タートルネックの高さは日本人にこれで正しい?とか、リブのテンションの締め付けはこれで本当に気持ちがいいかな?時計大きいけど…とか。生地はかっこいいけど、これだけ重い服を着るのかな?とか、リアルな着用感とディテールを、細部に気を配って企画しています。

金澤

今まで大島さんには聞いたことないですけど…。ルカ(*1)をやっぱり意識されてます?

大島

最初(2025FW)のシーズンは、やっぱりそこだなと思って、ひたすら見ました。その上で、ある一定の距離は取った方が良いと思いましたが、なんせ全コレクションを見たので、その匂いは入っていると思います。当時のインタビューもたくさん読みました。

金澤

なるほど。ルカの洋服って、上質な素材でフレンチエレガンスをベースにしているけど、エレガンスを突き詰めるとトレンドとは無縁なところにいってファッションとは成立しない、そこに行く手前で止めていた感じがすごく好きだったんです。フォーマルやドレスをベースにしているので、カジュアルなものの作りもディテールにこだわった日本的な服だと個人的に思っていました。だから意識されていたのかなと思って。

大島

雰囲気として意識していたところです。

(*1)ルカ・オッセンドライバー:2005年~2018年、「LANVIN」のメンズ部門のアーティスティック・ディレクターを務める。

(*2)アルベール・エルバス:2001年~2015年、「LANVIN」のアーティスティック・ディレクターを務める。

あのふわっとしたルック、ルカじゃん金澤

おふたりに、ルカの生み出すファッションはどう映っていましたか?

金澤

春のルックのコートをひらっとしている写真があったでしょ?あれ、あぁルカじゃん!と思って見ていました。私は90年代~2000年代にかけてのシャープなカッティングとかにはまれなかったんですけど、ルカの風をはらむようなふわっとしたファッションにはドはまりしたんです。その空気感をすごく感じました。

大島

すごく褒められてますね(笑)私も当時の細くて短くてというスタイルは着ていなくて…

金澤

私もなんです。ぜんぜん着てなかった。

大島

その後にエルバス(*2)が出てきて、いきなりメゾンをモード界のトップに押し上げて、メンズは?というとルカが入ってきてガッと持っていって。

金澤

何年もパリモード界のど真ん中に君臨したイメージがありましたね。

大島

ネイビーとグレーで風をはらんで、繊細で、光沢があって、という感じは新鮮でかっこよかったですね。風をはらむっていうのが、オーバーサイズではなく、余裕みたいなものがエレガントな雰囲気だったり、気持ちも余裕があるみたいなことに繋がったらいいのかなと思っています。

金澤

最後は人間がでるじゃないですか、エレガンスって。所作や知性を邪魔しないギリギリなところ。服はツールや手段みたいなものだから。

「ランバン コレクション」の代表的なアイテムとは

大島

ジャケットをきれいに着る。最初に金澤さんにプレゼンしたのは、『軽くて甘いテーラードジャケットを作りたい』という話をしたんです。仕立ては本格的できれいだけど軽いもの。そういったジャケットはブランドの中心アイテムとして、季節問わず提案したいと思っています。

金澤

やっぱり「ランバン コレクション」はテーラード。上質な素材と完璧なテーラリングだからね。

大島

軽くて甘いテーラードジャケット、ドレスシャツのようなカーディガン、フィッシャーマンニットのようなアクティブなハイゲージニット。カジュアルだけど仕立てがいいからエレガントというのが、どの商品にも根本にあります。

(*2)アルベール・エルバス:2001年~2015年、「LANVIN」のアーティスティック・ディレクターを務める。

着る人の自信になればいいかな金澤

「コム デ ギャルソン・オム・ドゥ」のキャッチコピーは“日本の背広”というところから始まっている。髪が黒くて、目が黒くて、肌が黄色い日本人が着て1番かっこいいスーツ。やっぱり、日本人が着て、1番素敵な、かっこいい服。そんな風に、「ランバン コレクション」の服も、着る人の自信になればいいなと思います。

エレガンスを形にできる企画力と生産力大島

洋服を作る上では、私が携わる前から取り組みいただいていた生地屋さん、縫製工場、加工工場、等々を一通り見せていただきましたが、クオリティの高いものばかりでした。考え方や視点の投げかけはしていますけど、ものを作る背景は今までブランドが培ってきたものが素晴らしいと思っているので、基本的には同じところで作っています。ブランドに携わるすべての人の能力をもっと引き出して、おもしろく広げようと思っています。