
佐藤 琢磨
TAKUMA SATO
年齢を重ねても、夢を持ち続けたい。
そして分け隔てなく人をリスペクトする心を忘れずに
EPISODE.05
「年齢を重ねても、夢を持ち続けたい。
そして分け隔てなく人を
リスペクトする心を忘れずに」
「ご覧の通り、大好きなんです(笑)」
インタビューの冒頭、ランバンのシグネチャーカラーであるブルーについて訊くと、佐藤琢磨さんは大きく手を広げながら、プライベートで着用していたネイビーのジャケットを嬉しそうにアピールしてくれた。
「ブラックだとストイックすぎる印象もあるのですが、ネイビーは上品で大人な雰囲気に見え、落ち着きがある。静かだけれど、内に秘めているものを感じると言いますか。今日のニットジャケットもネイビーだったので、普段着感覚で着用することができました。端正なムードがありつつも気負わず、着心地は抜群。ちなみに、レースの時に被っているヘルメットもネイビーの入ったブルーが基調なんですよ」
メンズライン創設から100周年という月日を重ねてきたランバン。佐藤さんは「本物を作り続けてきたからこそ」とその背景を読み解く。


「本当にいいものって、実際に使ってみたら想像をはるかに超えてくるじゃないですか。袖や脚を通した時の肌触り、鏡で見た時のシルエットなどから“良品”たるゆえんがわかる。100年続いているということは、100年分の信頼の証。本物を作り続けてきたランバンさんならではの服作りの確かさだと思います」
さらに、モノ作りに対するこだわりを自身が乗るレーシングマシンになぞらえて語る。
「例えば、自分たちが乗り込むマシンのコックピット周りは、ドライバーに合わせたテーラーメードで、一切の妥協がないんですよ。シートは完全に自分の体から型取りをし、ペダルもフェイス面のデザインから造作して、位置や距離をミリ単位で自分に合わせますし、ステアリングのグリップも手に馴染むよう型を取って作ります。服作りも自分は同じだと思っていて。長い歴史の背景には試行錯誤があり、妥協のないモノ作りの積み重ねがあってこその今なのかなと」
レーサーとしては決して早くない19歳でのドライバー人生のスタート。周囲との経験の差を前に、キャリアを踏み出すことへの怖さや迷いはなかったのだろうか。
「もちろん、失敗や壁にぶつかることは何度もありました。でも失敗から学ばなければ成功はできませんし、限界まで取り組まなければ、その失敗さえもできない。だから壁があってもやらないことには始まらないんです。その瞬間は苦しいですが、苦しい時はチャンスでもある。足りない部分を見つめ直して、課題として次に生かせますから。ただ、実際は弱音なんか吐いている暇がなかったというのが正直なところです」
失敗を恐れず挑戦し続ける一方、決して自分の力だけでは走れないのがモータースポーツの世界。そんな世界を主戦場にしてきた佐藤さんにとって、「ダンディズムを感じる男性」とはどんな人なのだろう。
「どのスポーツの世界でも同じですが、分け隔てなく誰に対してもリスペクトできる人は格好いい。視野を広く持ち、周りのことまで考えられる人に、ダンディズムの精神を感じます。僕らの世界で言うと、ドライバーの運転がいかに上手でも、メンテナンスを怠ればマシンは動かない。だからメカニックを含め、すべてのスタッフに親身になって接することができる人は素敵ですよね。あとは年齢を重ねても夢を持ち続けている人は輝いていると思いますし、自分もそうありたいです」
そんな佐藤さんが、今なお追いかけ続けている夢とは?
「直近ですと『インディ500』という、アメリカのインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催される自動車レースに毎年参戦しています。そこで再び勝ちたい。最後に勝った2020年はパンデミックで無観客開催でしたから、今度こそ満員の35万人の前で! 厳密には、いま自分を応援し続けてくれている人たちと一緒に勝ちたいという思いが本音です。長い準備期間は大変なことばかりですが、苦しければ苦しいほど、難しければ難しいほど、一緒に達成した仲間と味わう喜びというのは、何物にも代えがたいですからね」。
ジップニット6万3800円、シャツ3万9600円、パンツ3万5200円、キャップ2万2000円=ランバン コレクション
佐藤琢磨
さとう・たくま●1977年、東京都生まれ。2002年にF1デビューし、04年アメリカGPで3位を獲得。10年からインディカー・シリーズに参戦し、17年に日本人初となるインディ500優勝を達成。20年にも制し、同大会2勝という偉業を成し遂げた。

