Feature

LC JOURNAL vol.12

“ PLAY ELEGANCE.”
LANVIN COLLECTION

LC JOURNAL

French Beauty,
Japan in the Moment

VOL.12

TOKYO,THURSDAY,October 1, 2026

 

大島隆之×三島正

ブランド価値を、未来へ届ける

SPECIAL DIALOGUE

MAIN PHOTO

今回のゲストは、アイウェアセレクトショップ「EYETHINK」のコンセプター三島正さん。現在、東名阪に5店舗を展開し、年々店舗数を増やしている「EYETHINK」におけるコンセプトの重要性と、その役割や目指す先、そしてアイウェア業界の未来についてお話しいただきました。また、理想の男性像やAIが台頭するなかファッションの分野でどのように戦っていくのかなど、おふたりの考えを熱く語り合っていただきました。

  • 大島隆之Takayuki Oshima

    ディレクター。百貨店、セレクトショップ、コレクションブランドでキャリアを積み、国内外のファッションブランドのディレクション、VMを行う。2024年よりCuatro LLC.を設立。 https://www.instagram.com/oshima_takayuki/

  • 三島 正Tadashi Mishima

    コンセプター。90年代後半イギリス人ファッションデザイナーのもとで働き、独創的な感性を養う。2002年「コンティニュエ」、2019年にアイウェアセレクトショップ「EYETHINK」をスタート。その他、国内外ブランドのディレクション、2024年より韓国のアイウェアブランド「PROJEKT PRODUKT」の日本代理店を展開。 https://www.instagram.com/mishimatadashi/

コンセプターとして、描く理想像

“大島さんに会いたいなと思って”三島

大島さんが今回オファーされた理由と、三島さんがオファーを受けられた際の率直な感想をお聞かせください。

大島

前回の小牟田さんのときもそうですが、今回の対談が『エレガントと思う人』というテーマを掲げています。それで思い浮かぶ顔はそんなに多くない。知性とユーモアと経験値を感じられる人。時代を生きてきた経験がすごく感じられる人として、お声がけさせていただきました。

三島

僕は、シンプルに大島さんに会いたいなと思って。東京に住んでいるといろいろな人に会うけれど、忙しいという理由で、案外会いたい人に会えるタイミングが限られるなと感じています。なので、会えるなら会いたいという気持ちでした。

大島

“近くて遠い”はありますよね。

三島

意外にね。卸しをやっていると、遠くのお取引様には年4回会うけれど、徒歩10分の場所にいる知り合いには会えていないことがよくある。だから会える理由がほしいので、今回よかったなと。

大島

僕も福岡の卸し先の方に、年4回会って食事もします。年4回も食事をする人が他にいなくて、すごい頻度ですよね。

三島

時間って、20代の頃ならありましたが、ある程度年齢を重ねると、家族との時間があって、自分の時間を考えると限られますね。

“『カラーとサイズ』が重要なキーワード”三島

三島さんの“コンセプター”という肩書に込められた意味や、ご自身の役割について、どのように捉えていらっしゃいますか

三島

「ベイクルーズ」で事業提案した中でオファーいただいた内容が“コンセプター”でした。会社のなかでコンセプターとは何か?を考えたときに、“全部”だと思っていて。例えば「EYETHINK」では、『カラーとサイズ』が重要なキーワードです。そのコンセプトに基づいて、バイイングや販促、店作りがある。80ブランドを扱っているので、お客様にとって、セレクトショップとしての意義を表現できるか、ブランディングや売上を構築できるかと考えると、全部が関わってきます。それは、スタッフのウェアリングやサービスひとつに対してもです。どんなコンセプトなのか常にベースにあるので、コンセプトメイキングは僕の仕事です。

大島

ウェアリングというのは店頭スタッフが着用するスタイルですか?

三島

そうですね。

大島

アイウェアだけではなくですか?

三島

アイウェアと洋服とのバランスですね。ユニフォームがある店舗とない店舗があるので、そこでも少し変えています。コンセプトはひとつですが、EYETHINKという1つのコンセプトのお店があって、街があり、館があり、フロアがあり、そこにブランドを体現するスタッフがいて商品があり、お客様がいるということまでをどうローカライズさせるか見ています。

大島

具体的にあれを着なさいということではなく、少しスタイルが合っていないからこっちの方がいいよというアドバイスですか?

三島

基本的にはカラーとサイズのバランスを見ています。ブランドの指定はしないですが、ファストファッションは避けています。

大島

「EYETHINK」の直営店舗はどちらにありますか?

三島

渋谷パルコ、虎ノ門ステーションタワー、新宿フラッグス、名古屋、大阪。そこから年に1店舗ずつ増やしていきたいと考えています。

大島

新宿フラッグスのオープンの告知ビジュアルはNoritakeさんでしたよね?

三島

そうですね。仮囲いの壁面を全部描いてもらいました。6年前くらいですね。

大島

いまでも覚えているくらい、すごく印象的でした。

三島

仮囲いはさみしいので、せっかく面が作れるならアートがあった方がいいなと思って。工事現場などで大きい壁を作るなら、重たい印象になるよりは、抽象度を上げてアートがあった方が通りたくなるからいいなと思ってお願いしました。

“三島さんには芯が明確にある”大島

新しいコンセプトを立てられる際、世の中の空気やカルチャーからどのように着想を得ていらっしゃいますか

三島

自分がやる役割と時代を加味しています。自分の概念と美意識は、小学校5年生~中学2年生が第1フェーズ、次に高校生くらいで第2フェーズが決まっていった気がします。第1フェーズでシャープな男性像・しなやかな女性像ができあがっていったように思います。

大島

早いですね。

三島

中学では映画と音楽。でもファッション誌は見始めたのが遅くて、高校の途中から。

大島

中学生で映画や音楽に触れたとして、ファッションのテイストは分かってもブランドはわからないことが多いと思います。それで高校生から具体的なブランドや歴史が文字情報として入ってきますよね。

三島

そうですね。最初はアメリカの古着から入って、聞く音楽ともリンクしているので、ロックや反戦フォークから始まり、ヒップホップやテクノへいって、音楽とともにファッションも変わっていく感じでした。

大島

三島さんにはイギリスの印象が強いです。

三島

そうですね。10代の後半くらいからアメリカよりもイギリスの音楽やアートファッションに傾倒していきましたね。はじめて行った海外もイギリスでした。

大島

三島さんには芯が明確にあるなと思っています。

三島

若いときに見た、狂気的だけどインテリジェンスみたいな人がかっこいいと思っていて。

大島

思い当たる人はいますか?

三島

昔だったら、北野武さんとか、映画監督のSABUさん。エッジがきいていましたよね。最近だとモデルでスタイリスト、DJもやっている今井太郎さんとか。近年1番影響を受けていたのは篠田ミルさんでした。ちょっとシャープでキレている感じ。年齢を問わずシャープな人は好きですね。

“好きなことでないとアイデアが出なくなる”三島

三島

お店作りでも自分の中ではシャープさは大切です。実際に、雑誌から情報収集をしたり、マーケティング主導ではやりません。不特定多数の人を対象にも考えないです。そのあたりはコンセプトが決まってからしか考えないので、他のお店の売上や取扱いブランドもあまり見ないです。インスタのフォローもせず、情報としては入れません。
あくまで日常の中での街で見た空気感や自分がいいなと思うポイントをピックアップしています。

大島

必要ではない情報はいらないと、選択しているということですね。

三島

お店をしていると様々な人たちが来るし、スタッフもいるので、その意見もあるし、会社なら他者情報もあって、そうなんだぁ~とは思いますが、それはコンセプトメイキングする上で必要ないと思っています。自分が考えたコンセプトがそのディテールをクリアしているかという突き合わせはすごくして、仮説は作ります。
好きなことでないとアイデアが出なくなるし、ブランドやお店は役割定義をしないといけないですね。シンプルにお客様のためにも。

大島

最初のお店ができてから2店舗目までの期間があいていますよね?

三島

2年ほどあいています。オープンして半年でコロナ禍に突入してしまって…。しんどかったですね。でも、コンセプトを貫いていれば大丈夫かなと思っていたら、お声をかけていただけました。

大島

1店舗目のスタッフは大変ですよね。

三島

ファッションの経験者の方は軽やかに馴染むことが多いですね。逆にメガネの経験者の方は、メガネ屋とはという概念があるし、捉える事に時間がかかることが多いですね。偶然メガネだしと思っているタイプと、メガネ屋やるぞ!と思っているタイプでは、店頭での立ち方やサービスの在り方が変わってきます。ロープライスのお店とも、こだわりのメガネ屋とも違うし。

大島

採用は「EYETHINK」の人材として取られていますか?

三島

「EYETHINK」のスタッフはファッションストアでの経験者が多いですね。最近、「EYETHINK」希望の人が増えてきているみたいで。ファッションをやりたくて、その配属先が「EYETHINK」という。想定の流れができてきたなと思っています。

大島

新宿と渋谷パルコにしか行ったことがないのですが、やっぱり違いますよね。

三島

大きくは渋谷は若くて美意識の高い子が来てくれるので、度なしのレンズは渋谷パルコの単価が1番高いです。やりたいことがやれる館です。虎ノ門はよりその延長線上でより上質さを求められる方が多くご来店いただいています。

“何かを続けている人はずっとシャープ”大島

「ランバン コレクション」は『PLAY ELEGANCE.』をコンセプトに掲げていますが、三島さんにとっての“エレガンス”とは日常のどのような瞬間ですか?

三島

先ほど大島さんも仰っていましたけど、知性や、あとは品格。物はどこでも揃うし、ある程度のことはAI化されていく。物は誰にでも売れるけれど、サービスは売れるのかな?という思いはあります。もっとAIが進化した中で、求められるのはエレガンスということではないかと。商品の質でもなく、人が介入する意味は、品格という部分になるでしょうね。
いま実は、1日1食の生活をしています。1食を外食したとして、例えば1人1万円だったときに、それは味だけではなく、場の空気やお店の人の所作を含めての価格だなと思っています。知性や品格の部分に対して、10年20年先も人が介入していくべきだと考えています。

大島

1日1食の生活は体調以外の要素も強そうですね。

三島

朝昼はドリンクで、夜は自由な1食です。その方が集中できるし、ひとつずつの味を味わうし、空腹を満たすというよりは食事を楽しんでいる感覚になれます。
例えば、大島さんがコレクションを作るとして、あと何回コレクションを作れるだろうということと同じで、あと何回この人と一緒に食事ができるかなと思うと、その1回がどんな意味かなとか。色々なことが便利になってくる中で考えるようになりました。

大島

よくわかります。今日のお話しの中で、所作という言葉がよく出てきますね。店舗があるから出てくるワードなのか、三島さんが気にされているワードなのかどちらかなと思って聞いています。

三島

インテリジェンスかどうかを含めて考えています。ラグジュアリーということにはそれほど興味はなく、カジュアルでもドレスでも、インテリジェンスかどうかはすごく気になります。知性・品格・所作というところに憧れはあるけれど、対極の狂気的なことへのシャープさにも同時に惹かれます。

大島

訓練や修業みたいなことにフォーカスが当たるかなと思っています。そこから出てくるものが、品格や所作になるのかなと。続けている人はずっとシャープな気がします。そのバランスが自分らしさかもしれません。

三島

環境要因はすごく大事ですが、それがコロナ禍以降取っ払えるかなと思っています。こどもを育てるうえで、知性や品格と同時に、どのくらい遊び上手か、自由に発想できるかが重要ですよね。どのくらい遊べるのか、自由になれるか、アイデアが出るか、様々なことがAIで解決できるからこそ、AIで済まないことが重要ですね。

大島

先日ChatGTPに靴のサイズ感の質問を投げかけたら、知人が運営するサイトから返答を取ってきていました。誰かの主観が世界の声として反映されているのを目の当たりにして、責任とはまた違うけれどもうひと段階考えないといけないなと思いました。

三島

LINEの返信でも、AIで書いているということがよくあって。それは個性とのズレを感じることも多く、きれいな文章を書くことが良しとされるわけではないですよね。その人っぽいことが自分は好きで、自分もそうありたいと思っています。AIを参考に使うのはいいと思いますが、人と対峙したときにはギャップを感じるので、みんなもっと遊び上手になった方がいい。個性を感じられないとゼロイチを生み出せないし、あなたじゃなくてもいいということになってしまう。

大島

一方で、最低限ここはキープしてもらいたいということはあるので、難しいですね。個性は個性で欲しいですけど…。

三島

便利なだけに、こちらもわがままになりますね。

大島

とてもわかる気がします。

“コンセプトメイキングとターゲットで、市場はまだ大きくなる”三島

めまぐるしく市場の情勢が変わる中で、アイウェア業界は好調をキープしているように感じますが、アイウェアが支持される背景をどのように考えておられますか

三島

いくつかの側面があって、メガネ業界のなかでも捉え方が違っています。市場としては四半世紀で2/3くらいになりました。売れている本数は25年前と同じくらいですが、6000億あったのが今は4000億くらいで、10年以上下げ止まっている。良くも悪くも、ロープライスのお店が8割を占めています。だから個性はなくなってきて、均一化されている状態。日本のメガネ産業は衰退していっているけれど、海外のハイブランドが支えてくれている。
僕たちのマーケットは出店が少ないですが、その中で「EYETHINK」は毎年出店している。コンセプトメイキングとターゲットを定めていけば、市場はまだ大きくなると考えています。違うやり方をすれば、大きくなれる可能性はある。

大島さんも「ランバン コレクション」のディレクターという立場で、コンセプトの重要性はどのようにお考えですか

大島

「ランバン コレクション」のことをサイトや様々な機会で発信することを『届ける』と表現しています。いいことをしても、いい物を作っても、届かないと意味がない。そもそもいい物とは何だろう?ということを考えています。物を買う判断基準は品質ではなく、どんなコンセプトや考えのもとでできているブランドだということを届けることが大事だと思っています。

三島

それはすごく重要ですよね。例えば「コンティニエ」はストーリーを徹底的に伝えてきました。そうすると、ストーリーを好きな人が集まってくる。そこのコアマーケットの規模はわかっていたからあとは任せて、近年は「EYETHINK」を作りました。その時は、ブランド説明や専門用語を最小限に抑えて、お客様のわかる言葉だけを使うようにしました。お店では商品をブランドごとではなく、シルバーのゾーン、黒のゾーンというように並べています。その中にスタイリングがあり、その中にブランドがある。それをカラーとスタイリングのバランスと接客で伝えていくというやり方です。目的を明確にすれば届くと思います。コンセプトメイキングは、結果はそんなに重要ではなくて、どんなプロセスでやれたかということが重要ですね。

“名前を聞いてイメージが浮かぶ人”大島

大人の男性のかっこよさは、“らしさ”があるかどうか。トレンドや何を着ているか、何を身につけているかというとこではなく、その人っぽいなということを感じられる人。フォルムなのか、色なのかはわからないですけれど。名前を聞いて、なんとなくでもイメージがふっと浮かぶ人は素敵だと思います。

“伝える仕事がしたくて”三島

ファッションは好きでしたが、モノを伝えることが好きだなという感覚が芽生えてきて。伝える仕事がしたいと思うようになりました。メガネは15歳くらいからダテメガネで使っていたので、好きなもののひとつを仕事にしたかった。ファッションでコミュニケーションのツールとしてメガネを選んだのは、好きなものなので、温度感を持って伝えられるかなと思って。好きなことをやっているかということには執着しています。

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